この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
華火は前屈みに顔を下げたまま、こんな風に話す。
「勢い余って言ったことですけど……この際、取り下げたりはしません。私って、こんな奴なんです。変なことばかり妄想したり、それでモヤモヤしたり。だから違うんです。ホントに全然、真面目でもなければ、純粋でもなくて……」
「それで、いいだろ」
「え?」
背後から華火の頭を撫でながら、俺は言った。
「普通だよ。さっきみたいなことに興味を持つのだって、全然普通のことだし。だからって、俺の中で華火の印象が変わったりしない」
「……そう、なんすか?」
「もちろん」
ショートの艶やかな黒髪を撫でつけながら、俺はそう答えた。
華火が振り返ると、そこには、はにかんだ笑顔が――なんて。俺が脳裏に描いたその場面は、今日ばかりは現実と重なってくれなかった。
「だからっ!」
「?」
「子供扱いは、ウザいんす」
こちらに背を向けたまま、華火は身体を起こした。すると、一体どうしようというのか。頭を撫ぜていた俺の右手を両手で掴むと、それを自分の胸に押し当てた。
「――!?」
小さな胸のふくらみの感触に埋もれる。掌には華火の律動を絶え間なく感じた。
「私、つき合ってください……とか。もう言いません、そんなこと。でも――」
「か、華火……?」
華火は尚も、右手を自分の胸に強く押し当てたままだ。
「涼一さん……私の胸、どうすか?」
「どうって……」
「やっぱり小さくて、魅力ないですかね」
「そんなことないけど……なあ、華火」