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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき


 華火は前屈みに顔を下げたまま、こんな風に話す。

「勢い余って言ったことですけど……この際、取り下げたりはしません。私って、こんな奴なんです。変なことばかり妄想したり、それでモヤモヤしたり。だから違うんです。ホントに全然、真面目でもなければ、純粋でもなくて……」

「それで、いいだろ」

「え?」

 背後から華火の頭を撫でながら、俺は言った。

「普通だよ。さっきみたいなことに興味を持つのだって、全然普通のことだし。だからって、俺の中で華火の印象が変わったりしない」

「……そう、なんすか?」

「もちろん」

 ショートの艶やかな黒髪を撫でつけながら、俺はそう答えた。

 華火が振り返ると、そこには、はにかんだ笑顔が――なんて。俺が脳裏に描いたその場面は、今日ばかりは現実と重なってくれなかった。

「だからっ!」

「?」

「子供扱いは、ウザいんす」

 こちらに背を向けたまま、華火は身体を起こした。すると、一体どうしようというのか。頭を撫ぜていた俺の右手を両手で掴むと、それを自分の胸に押し当てた。

「――!?」

 小さな胸のふくらみの感触に埋もれる。掌には華火の律動を絶え間なく感じた。

「私、つき合ってください……とか。もう言いません、そんなこと。でも――」

「か、華火……?」

 華火は尚も、右手を自分の胸に強く押し当てたままだ。

「涼一さん……私の胸、どうすか?」

「どうって……」

「やっぱり小さくて、魅力ないですかね」

「そんなことないけど……なあ、華火」

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