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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき
ひと際高い声を漏らし、華火は全身がビクンと脈打たせた。やや脱力して、俺にもたれかかるようにしながら、言う。
「ねえ……涼一さん。どこかへ、行きませんか?」
「どこか?」
「これ以上は、流石にここでは……なので、二人きりになれる、どこかへ」
話しながら、華火はゆっくりと身体を捻り、俺の顔を仰ぐようにする。
「いいんです、別に。つき合ってとか、彼女にしてとか、面倒くさいことは一切ナシで。ただ、はじめてはやっぱり、できれば好きな人とって……私が望むのは、それだけなので」
その時向けられた、とろんと、とろけそうな瞳の中に、この夜の月明かりが怪しく映り込んだ。
「なんなら、都合のいい女でも、いいっす」
華火はニコっと、それでいて艶めかしく笑った。
そんな華火を前にして、俺の中にあったものは大いなる興奮とそれを覚えた己への強烈な嫌悪だった。結果として後者が勝り、俺は咄嗟に華火から身を離すと、ベンチから立ち上がった。
「――!?」
俺に身をもたれていた華火が、支えを外されたようにベンチの上に倒れ込んだ。
「だ、大丈夫か?」
その一瞬で正気を取り戻したように、華火は驚いたような顔をこちらに向ける。
「華火?」
「いやっ!」
身体を起こそうと差し出した俺の手を払うと、華火は素早く起き上がり公園の出口に向かって駆け出す。
遅れて走り出し園内を出るが、左右を見渡しても華火の姿が見当たらない。すると――
「う……ううっ」