この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき


 ぐす……ぐすん……ぐずっ。

 助手席から聴こえてくるのは、鼻をすする音だった。

「……」

 それを耳にしながら、俺は前を向いてハンドルを握っている。

 映画館からの帰り道、国道は渋滞もなくスムーズに流れていた。華火は店に原付を置いてあるので、一度そこまで戻らなければならない。

 一向に泣き止みはしないが、これでも随分と落ち着いてきた方。公園の外で泣き崩れてから、車に乗るように言い聞かせるまでには、かなりの労力を要した。「顔を見ないで!」とか「ほっといていいですから!」とか、そんな言葉を涙声で繰り返されるばかりだった。

 当然ながら置き去りにできるはずもない。だが実際のところ泣かせてしまった張本人が、彼女に気の利いた慰めの言葉などかけられるわけもなくて。暫く近くで様子を眺めながら、泣き疲れた頃を見計らい、些か強引に車まで引っ張って行くのが精一杯だった。

 その際も、駄々をこねたようにイヤイヤをして何度も手を振り払われた。本当に子どものような泣き姿だと感じさせた。それだけにベンチで身を寄せ合うようにして、ダイレクトに胸を弄った時の光景が、不思議なほど嘘くさく思えるのだ。

 華火は、やはり相当な背伸びをしていたのだろう。それだけに躓き倒れた時、本来なら負わなくてもいい傷を、その汚れのない心に負ってしまったのだ。

 言うまでもなく、すべて俺のせいで間違いない。

/879ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ