この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第6章 いじらしい悪あがき


 華火が告白に踏み切ったのは、昨夜の飲酒の一件が引き金になったということ。あの時、俺に抱きついたり甘えたりしたことで、自分の気持ちが「バレバレになった」と思い込んだようだった。

 俺からしてみれば想定外である。高坂さんやマスターから警鐘を鳴らされていたくせに、まるで心の準備ができていなかった。

 日ごろ接する中で華火から滲み出ていた好意に、今更いくつかの場面が思い当たった気がする。否、俺は既に一定以上のものを感じながら、その部分に目を向けようとしてこなかったのか。

 華火との良好な関係を変えたくないというのは、その意味でも方便ではない。だから、俺の過ちは、その立場を貫徹しなかったことにこそあるのだ。

 告白を受けた時、今の自分が彼女の気持ちに向き合う資格がないと判断しながらも、心の奥底で「惜しい」という気持ちが生じていたのではないか。

 その上で俺は、体裁を繕うような言葉を並べている。それは、表面上は「つき合えない」としながらも、華火の一途な気持ちを、この先もずっと自分に向かわせていたかったから――?

 この夏が過ぎ瑞月たちが去った後で、いつか華火の気持ちに癒される時が訪れるような気がして、その可能性を捨て去りたくなかったのかもしれない。

 当然ながら計算立てて行動や言動に表したつもりこそないが、一方でこれらの仮定を否定することもできそうにない。俺の中に曖昧な部分が見えたからこそ、華火は「悪あがき」に出ることになってしまったのだから。

 最低で最悪なのは、間違いなく俺の方だった。

「な、なあ……華火……?」

 赤信号で停車した際、車に乗ってからはじめて華火の方を向き、おそるおそると声をかけてみるけど。

 ぐす……すん……ぐずず。

 華火は俯いたまま、尚も静かに泣き続けている。結局はそれ以上声をかけることができないまま、車は俺たちのバイト先である喫茶店に到着した。

/879ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ