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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
「いやっ、だけど……」
「別に、適当にでっちあげてくれれば、それでいいから」
「そう言われてもなぁ……」
思わず頭を抱える。小説のことも気にかかるが、なにより五月女さんが一度こうと言ったことを取り下げないことは、よくわかっていた。でっちあげるって、それはそれで難しいように感じる。
困り果てていると、五月女さんがこんな提案をした。
「じゃあ、四人に一応の希望でも聞いてみたら?」
「四人に?」
「その方が楽よ、きっと。それぞれの希望を適当に組み合わせれば、一週間の予定なんてすぐに埋まるもの」
他人事だと思って簡単に言ってくれる。でも結局、四人にはなにかと振り回されることになるのだから、それも一理あるような気もした。
「それで、彼女たちは?」
「それぞれ、お部屋にいるみたいだけど」
「……」
五月女さんに言われ、俺は二階の廊下の奥の二つのドアと一階の和室の襖を順に眺めた。
もしかしたら、これはいい機会なのかもしれないと思う。この際スケジュール云々は、ついででもいいだろう。それよりも彼女たちそれぞれとの距離は、俺自身としても一度確かめておきたいと感じる。
そんなわけでこの後、俺は彼女たちの部屋を順に訪れることになった。これまでにあった様々な事象を踏まえた上で、改めてどう向き合うのか本気で考えるためにも。