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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
彼女たちと話すことは、こちらとしても吝かではない。というよりも、このタイミングで話しておくべきだろうという使命感にも似たものが、俺の中に生じていたのだ。なので、百歩譲ってそれはいいとしよう。
だが一体、五月女さんはどういうつもりなのか。フィクサーである親父の存在については今更なので捨て置くにしても、いきなりやって来て「すべてお見通しよ」みたいな顔をされては、どうにも面白くない。
当然ながら、残り滞在中のスケジュール提出なんてことは、もののついでだろう。そんな要件ならメールで事足りる。もちろん、瑞月の様子を窺いに来たというのは目的の一つであるにしても、それ以外にもなにか――目的ではなく魂胆と呼ぶべきものが、五月女さんの中に秘められているような気がした。
五月女さんはソファーに悠然と腰掛けたまま、立ち上がった俺の顔を仰ぐ。
「なに?」
聞きながら、つい視線は顔から下に。五月女さんといったら黒系のスーツ姿のイメージだけど、今は珍しくカジュアルな格好をしている。白シャツの開いた胸元から深い谷間を窺いかけて、すぐに目線を逸らした。
「なんとなく、どの子の部屋から行くのかしらと、そう思って眺めていたの」
「別に、誰からだっていいだろ」
四人の内の誰から話そうが、そんな順番に意味なんてない。そう思い、些か冷めた目を向けるが。