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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
五月女さんは意味ありげな笑みを浮かべ、更にこんな風に言った。
「あの中で、誰が涼一さんのタイプか、当ててあげましょうか?」
「はあ?」
「みんな、個性が違って可愛いわよね」
明らかにからかわれていると感じ、俺は大きくため息を吐いた。
「彼女たちは、大事なお客。そう言ったのは五月女さんでしょ? そんな風に色目を向けたら失礼だ」
「そうね。だけど、女四人の中に男一人だもの。少しは勘繰りたくもなるじゃない?」
「それは五月女さんの勝手だけど、実際なにもないから」
できるだけ平然に答えながらも、心臓の方は急激に早まっていた。なんにもないと、その一言だけで嘘が幾重にもなっていることに我ながら辟易とする。
「ふふ、涼一さんの慎重さは信用しているけれど、どちらかと言ったら周囲に振り回される人だから」
これには苦笑するしかない。その顔を見られないように背を向けながら、俺は言う。
「心配してくれて、どうも」
「でも、実際少し気になるわ」
「気になるって?」
「だって、あの子たち。一緒に旅行に来てる友達にしては、あまり仲が良さそうには見えなかったもの。なんだか、少しピリピリしてる気がしたわ」
「それは……一週間も一緒にいれば、そういう時だってあるんじゃない」
「そうかも。じゃあ、彼女たちがギクシャクして見えるのは、涼一さんのせいじゃないという理解で、OK?」
「当然」