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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
と、まるで俺と瑞月との対決構造を煽るかのように、それぞれの前にワインの注がれたグラスを差し出す高坂さん。だがその時、意外なところから茶々が入った。
「あの、高坂さん……今、ちょっと調べてみたのですが。そのワイン、お値段の方が……」
と、松川さんは恐々と言った。スマホを片手に、どうやらワインのラベルをみて検索にかけたようだ。
「お高いの?」
言いながらも高坂さんはまるで意に介さず、全員の分をグラスに注いでいる。
「え、ええ……それも、その年のものは格別で……」
「ウフフ、でも値段は飲んじゃうまで黙っててよ。先に聞いちゃうと、気後れして味がわからなくなりそう。特に私みたいな庶民はね」
「でも……」
「だって開けちゃったから、飲むしかないもん。いい、管理人さん?」
「かまわないけど」
当然、俺のではないが。そういった代物は、たまに保養がてらやってくる親父の友人夫妻など、来訪した客のために用意してあるものだ。そんな時に好むものがあれば、振舞ったりしている。
彼女たちも客には違いないので、特に問題はないだろう。
「もし弁済が必要なら、身体で払う?」
おどけて聞いた高坂さんの言葉が、なぜだか俺には引っかかってしまった。
「そういう言い方、冗談にしても好きじゃない」
「あら、真面目」
「この上、からかうのなら――」
「そんなつもりじゃ……でも、ごめんなさい」
「あ、いや」
急にしおらしく素直に謝られてしまい、逆に悪い気がした。変につっかかってしまったのも、酔っているせいなのだろうか。それとも……。