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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
思いの外、驚いた顔をされてしまったので、俺は慌ててつけ加える。
「いやっ、別に大したことじゃないんだ。滞在中の今後の予定について、みんなに希望を聞いておこうかなって……ほら、一応はこれでもこの別荘の管理人だからさ」
「え、ええ……それなら、もちろん」
「じゃあ、部屋に入れてもらっても、いい?」
「……どうぞ」
先に訪ねようとした高坂さんの部屋の前から離れ、俺は松川さんの部屋の方に誘われていく。この時点では、なにかを警戒する必要はなかった。それは、彼女たちの部屋が二人部屋だからだ。
だけど通された部屋の中に、夏輝木葉の姿はなかった。
「あれ、一人?」
「はい。木葉ちゃんなら少しお腹が痛いと言って、さっきからトイレに」
「え、大丈夫かなぁ?」
「たぶん。きっと、食べすぎだと思いますから」
「はは、そっか」
「……」
瞬間、視線を合うと、松川さんは意識したように俯いてしまう。頬がほんのりと染まったのを見て、俺としても一気に居心地の悪さを感じていた。
一人ではないと油断して部屋に入ったけど、こうして二人きりになると妙な意識が働いてしまうのも無理はない。彼女と二人きりなるとわかっていたら、もう少し心の準備をしておくところだ。
四人の誰から話すのか、その順番自体に意味なんてあるはずがない。それはそうなのだけど、最初からヘビーなところに来てしまったという想いは否定できなかった。
目下のところ俺にとっての一番の火種は、この松川土埜で間違いないのだから。
「そ、それでさ――」