この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
「あれ、管理人さん?」
「あ!」
思わず声を上げたのは、そこに立っていたのが高坂さんだったから。てっきり夏輝さんが、トイレから戻って来たのだと思っていた。
「なにしてたの?」
「いや……高坂さんは、なんで?」
「なんとなく、管理人さんの声が聴こえた気がしたから、なにかなって」
「ああ、それが――」
この場合、誤魔化そうとすると逆に怪しまれるだろう。俺は率直に、部屋を訪ねた理由を話した。
「――というわけでさ。今後の予定を立てるために、みんなの希望を聞いて回っているんだけど」
「ふーん」と、高坂さんは話を聞くと、「で、彼女はどうしたいって?」
「えっと……」
当然ながら、質問に対し正直に答えるわけにはいかない。どう話そうかと困っていると、意外にも背後の松川さんが言った。
「わ、私なら――明日」
「明日?」
「お……お兄さんと二人で出かけたいと、そうお願いしたところです」
「!」
ギョッとして振り向き、松川さんをまじまじと見つめた。
「あはは、意外だね。そうだとしても、もっと、こっそりするのかと思った」
高坂さんの言った通りだ。「三日後」のことは、二人で秘密裏に交わした約束のはず。それを大人しい性格の彼女が、自らこうしてひけらかすなんて想定外だった。