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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
「み、瑞月ちゃんに……話しますか?」
一方で不安を覚えたのだろう。松川さんは俯き加減に、高坂さんの方を窺う。
「ううん」高坂さんは頭を振り「言わないよ。だって、その意味では同じなのかもね、私とさ」
「え?」
「私、大学でね。松川さんの噂、聞いたことあるよ。あまり、よくない方の」
「そう……ですよね」
「ごめん、嫌なこと言って。でも、もしかしたら、私の噂も耳にしてるんじゃない? もちろん、よくない方の、ね」
「……!」
「ふふ、思い当たったみたい」
「あ、いいえ……その」
「いいのいいの。私、そういうの気にするタイプじゃないから」
「あの……高坂さん?」
「私が言いたいのは、たぶん。私と松川さんがここへ連れられて来た理由って、実は同じなんじゃないかなって」
そう話した後で、二人はなぜか俺の方を見た。
「?」
彼女たちの会話の意味するところを、俺は理解できずにいる。否、部分的に想像できそうなことくらいあるけど、彼女たちの真意となると、まるで見当もつかない。
「ねえ、松川さん」
「は、はい?」
「じゃあ、次。私も希望を言わせてもらっていいかな?」
高坂さんは松川さんにそう断った後で、俺の方に言う。
「管理人さん、私は明後日でいいから」
「明後日?」
「うん。私とデートしてよ」
高坂文水はそう告げて、ニッコリと無邪気な微笑を浮かべていた。