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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
二人? 五月女さんと、もう一人は瑞月のことなのか。確かに「デート」という希望を、そのまま話すわけにはいかないだろう。頭痛の種が一つ増え、気分が重い。
「それは、ともかく。高坂さんは、どういうつもりなの?」
「さあ、どうかなぁ。練習がてら少し考えてみるといいんじゃない? 私の気持ちも、松川さんの気持ちもね」
「練習って……俺って、人の機微にそんなに疎いのかな?」
だとしたら人の心理に入り込む小説家なんて、自分に向いてないのではないかと本気で不安になる。
「疎いとか鈍感というよりも、見ない振りをしているのかも。あるいは、信じられないとか」
「人の気持ちを、俺が信じていない?」
「ふふ、さあ。それは流石にわからないけど、心当たりはない?」
「……」
高坂さんに言われたことが心に引っかかったのは、そんな自覚が自分にあるからなのか。なんとなく腑に落ちない気持ちで、俺は高坂さんの部屋を後にした。
さて、二階で話をしてないのは夏輝さんだけだけど、流石にもう部屋に戻っているだろう。とはいえ再び部屋を訪れて、松川さんと顔を合わせるのもなんとなく気まずいような……。
そんな風に考えている時、階段を上がってくる音に気づき、後ろを振り向いた。すると、俺を見るなり、つかつかと勢いよく詰め寄って来たのは夏輝木葉。