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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
「ああ、いたぁ!」
「夏輝さん、どうしたの? そんなに慌てて」
「だあってぇ、つっちーから聞きましたよぉ!」
普段はニコニコと愛想の良い彼女が、珍しく怒ったような顔だ。
「聞いたって、なにを?」
「お兄さん! 明日はつっちーと、明後日は文水さんとデートの約束したって本当ですかぁ?」
「いや、違うよ……。俺は単に、みんなの予定を聞いていたのであって――」
そう弁解しようとするが、どうやら夏輝さんはそれに耳を傾けてくれそうもない。
「どうして二人とは約束して、私とはできないんですかぁ?」
「だ、だから、そうじゃなくて……夏輝さんは部屋にいなかったから、後回しにしただけで」
「ひっどーい!」
「え? な、なにが?」
「今、私のことは、あの二人より後回しだって!」
この子はなにを急に、こんなにも面倒に絡みはじめたのか? 夏輝さんの剣幕に唖然しながら、とにかく宥めようと試みるが。
「わかった。もちろん、同じように話は聞くからさ」
「じゃあ、私も――!?」
と、その瞬間。それまでの捲し立てるような夏輝さん言葉が、ぱたりと止まる。
「私も、なに?」
「わ、わたし……」
「夏輝さん、どうかした?」
急激に夏輝さんの顔色が青ざめていく――と。
「お、お兄さん! 一緒にコッチへ!」
「えっ! なっ、なに」
「いいから、急いでっ!」
俺の手を引き、夏輝さんはそのまま廊下の奥へと走る。そうして、突き当りの左のドアを開けると、その中へ。
二人が飛び込んだ場所は、(最早、因縁の?)トイレだった。