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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
「まっ、待って!」
言いながら、彼女が俺の二の腕の辺りを掴む。そうして、ぎゅっと力を込めた両手を、小刻みに震わせた。
「ま、待ってくださいぃ……お願いですから、今ぁ……大きな声は、出さないでっ」
「それは悪かったけど、でも――」
「んっ、ああっ!」
夏輝さん声を上げ、ピクンと全身を脈打たせた。
「どっ、どうしたの?」
「で……出ちゃうかもぉ……しれ、なぁい」
「え? なに……が?」
掴んだ両手で俺に縋るようにしながら、彼女は今にも泣き出しそうな口調で、こう話した。
「昨日も今日も、調子に乗って食べすぎちゃったみたいです。私、お腹こわしちゃって、だ、だからぁ……」
大して気に留めてなかったけど、そんなことを松川さんからも聞いていた。
昨夜のバーベキューの時、周囲が大丈夫かと思うほど肉を喰らっていた彼女の姿を思い浮かべ、俺はふっとため息をついた。
「どの道、話は後だね。とりあえず、俺は胃腸薬を用意しておくから。後はごゆっくり」
そう告げて、個室から出ようとした時である。
「駄目です! 一人にしないでっ!」
今度はより明確な形で、彼女から抱きつかれていた。
「な、夏輝さん……?」
「私、暗いの怖いの……しってるじゃないですかぁ」
「だから俺が出れば、電気も点けられるし。そしたら落ち着いて、一人で用を足せばいいでしょう?」
「でも、まだ話が終わってませんし……」
「だから、それは後でも」
「いや!」