この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
駄々っ子のように更に強く抱きつかれて、俺は暗闇の中で途方に暮れる。本当に彼女は、一体どうしろというのか。
「あの……お腹が痛くて、トイレに来てるんだよね?」
「……はいっ」
「じゃあ、俺がここにいたら困るのは、夏輝さんだと思うけど?」
「それはっ、そう、なんですけど……んっ!」
「ほら、ちょっと」
「だっ、大丈夫です。少しだけ、お腹痛いの治まってきたので」
「そうは言ってもさ」
「あは」
「?」
不意に零れた笑みを妙に感じて、俺の胸元に頬を寄せたままの彼女を見つめる。
「本当に不思議なんです。こうしてお兄さんとくっついていると、暗いのだって怖くない。心の底から安心できるんです」
「……」
闇を怖がることも、トイレを我慢する悪癖も。傍目には変としか思えないそれら彼女の性質には、なんらかの意味が隠されているのだろうか。ふと、そんなことを思った。
「あの、お兄さん」
「ん?」
「私も、お兄さんとデートしたい」
「いや、俺はそんな話はしてなくて」
「つっちーと文水さんとは約束したくせに、私とはしてくれないんですか?」
「約束とか、別にそういう話でもないんだけど」