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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い


 駄々っ子のように更に強く抱きつかれて、俺は暗闇の中で途方に暮れる。本当に彼女は、一体どうしろというのか。

「あの……お腹が痛くて、トイレに来てるんだよね?」

「……はいっ」

「じゃあ、俺がここにいたら困るのは、夏輝さんだと思うけど?」

「それはっ、そう、なんですけど……んっ!」

「ほら、ちょっと」

「だっ、大丈夫です。少しだけ、お腹痛いの治まってきたので」

「そうは言ってもさ」

「あは」

「?」

 不意に零れた笑みを妙に感じて、俺の胸元に頬を寄せたままの彼女を見つめる。

「本当に不思議なんです。こうしてお兄さんとくっついていると、暗いのだって怖くない。心の底から安心できるんです」

「……」

 闇を怖がることも、トイレを我慢する悪癖も。傍目には変としか思えないそれら彼女の性質には、なんらかの意味が隠されているのだろうか。ふと、そんなことを思った。

「あの、お兄さん」

「ん?」

「私も、お兄さんとデートしたい」

「いや、俺はそんな話はしてなくて」

「つっちーと文水さんとは約束したくせに、私とはしてくれないんですか?」

「約束とか、別にそういう話でもないんだけど」

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