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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
階段を下り、リビングを通り抜けようとした時だ。
「大変そうね」
「!」
ソファーでゆったりと寛ぐ五月女さんを、不愉快さを隠さずに睨みつける。誰のせいだよ、とは言わないまでも。
「残すは瑞月ちゃん?」
「まあ、そうだけど」
当然ながら俺自身、一定以上のストレスに苛まれている。
「スケジュールとか言って、本当は俺を困らせて楽しんでるだけじゃない?」
「さあ? そもそも、なぜそれで涼一さんが困ることになるのか、わからないけれど」
「それは……」
言葉が、ぐっと喉の奥に詰まる。五月女さんと話していると、昔からよくこんな状態になったものだ。それが懐かしいようでもあり、それだけに腹立たしい。
「まあ、しっかり。予定を決めて、有意義な夏を過ごすの。瑞月ちゃんたちも、そして涼一さんもね」
「俺は、別に」
こっちとしては、それどころではない。そう思うけど、小説を理由に抗うこともできなかった。五月女さんには、子供の言い訳のように捉えられてしまうだろう。
「ほぉら、早く瑞月ちゃんのところへ行きなさいよ。私だって、それほど暇じゃないわ」
急かされて一度は背を向けながらも、思い直し振り向いた。
「あのさ、五月女さんは、今夜どうするの?」
「そうね。適当なホテルにでも泊まるつもり」
「そう……」