この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い


 決して家庭的な男ではなくとも、親父が愛妻家であることは疑いようがなかった。おそらく世間一般のそれとは異なるにしても、異常なほどの愛を捧げてきた様子は、息子の俺が嫌というほど見せつけられている。

 結婚以来、週に一度のデートは欠かしたことがないと自慢したことがある。長く家に帰らない時でも、それは例外ではなかったはずだ。そんな親父たちが、どうしてまた?

 こちらの疑問に、憂鬱に俯きながら瑞月が答える。

「原因は、私みたい、だね」

「瑞月が?」

 瑞月は小さく頷き、話を続けた。

「前に言ったよね。大学入学を期に、私も一人暮らしを始めるって」

「ああ」

「あのお父さんが、よく許したって思わなかった?」

 確かに。俺への放任ぶり(放置と記した方が正しいか)に比して、親父の瑞月への溺愛ぶりはまさに異常。言われてみれば、そう簡単に外に出すはずがなかった。

「お母さんのお陰なの。私がどうしても家を出たいってお願いしたら、お父さんに言ってあげるって」

「それを期に、二人が衝突を?」

 その問いに、瑞月はそっと頭を振る。

「その願い自体は拍子抜けするくらい、あっさりと聞き入れられたの。でもね――あはは」

「瑞月?」

 瑞月は自嘲気味に笑った後で、やるせない顔を俺に向ける。

「一人暮らしを始めて、すぐにわかったの。私の今いるマンションね……同じ階層の他の部屋、全部。お父さんが借り切ってるんだって」

「はあ?」

「笑っちゃうでしょ? でも、それだけじゃないよ。その幾つかの部屋には、お父さんの指示を受けた人が常駐してるの。大学に行く間も友達と出かける間も、私を見張るために」

「そ、そんな……マジかよ?」

 いくらなんでも馬鹿げている。そう感じながらも、一方であの親父ならやりかねないだろうとわかっていた。

 それだけに、瑞月のジレンマは測り知れないものとなる。その心に抱えたものの一端を示すように。

「ねえ、涼一……私、どうしたらいい?」

「え?」

「このままだと、私……」

 瑞月は瞳を潤ませ、すがるように俺を見つめた。

/879ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ