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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
瑞月の示した悩みに対しては、大いに責任を感じるところ。俺自身は高校入学を期に、家を出ている。その時に、残してきた瑞月のことを気にかけなかったわけではないけど、まさか大学生になってまで、それほど厳戒な監視下に置かれているとは……。
瑞月が自分の行く末を不安に思うのも、無理はないだろう。
そうなると、逆に今回の旅行をよく許したものだと思えてしまう。否、もしかしたら五月女さん以外にも監視者がすぐ近くに潜んでいるとか?
流石にないだろうと思いながらも、ぞっとするものが背筋に走った。あのクソ親父は、娘の幸せというものを一体どう考えているのだろう。
まさか、という想いが胸の中を過ぎる。瑞月は完全に母親似だ。その母親と不仲になった今、それまで注いできた愛情を娘に向けようとしているのではないか。それこそ母親の分まで、あらゆる壁を超える形で……。
「そんなこと、いくらなんでも」
「え?」
「い、いや……」
思わず言葉を口にしていた。瑞月から不思議そうに見つめられ、俺は頭を掻く。
瑞月は潤ませていた瞳を、涙が零れる前に指先で拭うと、改めて俺を見つめた。
「それで、涼一の用は?」
「ああ……本当に、大したことじゃないんだけど」