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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に


 そんな時、〝誰か〟が聞いた。

「それで――一体どこが、気に入らないの?」

 俺にではなく、その問いは瑞月に対して。

「関係ないんじゃないかな? 兄がどうしようと、所詮は妹なんだから」

 誰が話しているのかを、確かめようとする。しかし、揺れていた視界が定まった時に、俺が目撃したのは――妹(みずき)の涙だった。

「だって……」

 床に両手をつき項垂れたまま、涙の雫がぽたぽたと落ちていく。ぐすぐすと鼻を啜りながら、瑞月は言った。

「……私ははじめてを……お兄ちゃんに、奪われてしまっているから」

 なん、だって……!

 思わず酔いが醒めるほどの衝撃が奔る。それと同時に、他の三人の凍てつくような視線が、一気にこの身を刺し貫いた。

「ち……ち……」

 ……違うんだ。それだけの言葉が、すんなりと喉を通ってくれない。

 それはこの心が、やましいから?

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