この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
そんな時、〝誰か〟が聞いた。
「それで――一体どこが、気に入らないの?」
俺にではなく、その問いは瑞月に対して。
「関係ないんじゃないかな? 兄がどうしようと、所詮は妹なんだから」
誰が話しているのかを、確かめようとする。しかし、揺れていた視界が定まった時に、俺が目撃したのは――妹(みずき)の涙だった。
「だって……」
床に両手をつき項垂れたまま、涙の雫がぽたぽたと落ちていく。ぐすぐすと鼻を啜りながら、瑞月は言った。
「……私ははじめてを……お兄ちゃんに、奪われてしまっているから」
なん、だって……!
思わず酔いが醒めるほどの衝撃が奔る。それと同時に、他の三人の凍てつくような視線が、一気にこの身を刺し貫いた。
「ち……ち……」
……違うんだ。それだけの言葉が、すんなりと喉を通ってくれない。
それはこの心が、やましいから?