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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
五月女さんとの思い出に浸るのに、今は適切なタイミングではないだろう。そう思って、別荘に戻ってみると。
「あ、帰って来た」
リビングのソファーから、高坂文水が声をかけた。
「どうかしたの? 一人で」
「別に、ちょっとコーヒーでも飲もうかなって」
高坂さんが手にしたマグカップの珈琲《コーヒー》は、クリームが溶けた色。おそらくシュガーも入っている。そうでなければ飲めないと、本人が前に話していた。なのに、その時に飲んでいたのはブラックだった。
些細なことだが、不思議と気になっていた。もちろん、改めて今さら聞くほどのことではないが。
「管理人さんも、飲む?」
「いや、いい」
そう答えながらも、そのまま立ち去るのもなんだと思い、高坂さんの蓮向かいに腰掛けた。すると――
「ああ……」
高坂さんが俺の顔を眺め、落胆したような声を漏らす。
「ん?」
「別にー。只、ここで会ったのが私でよかったねって、お話」
「なにそれ?」
「さあ、ねー」
心なしか、やや不機嫌そうに高坂さんはプイっと顔を背けた。彼女にしては珍しい態度だ。わけもわからずに、その様子を気にかけていると。