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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
仕事ができそうな大人の女性という第一印象に、頑なであり清楚な美人であるという認識が早くも付け加えられていた。
だけど当然、それだけで屈するわけにも気を許すわけにもいかない。
「この家でお世話って……あなたは、ここで僕と暮らすつもりですか?」
「お望みでしたら、そのようにいたします」
「望まない、と言ったら……?」
「涼一さんの希望に従うよう、言われておりますので」
「……」
彼女の明瞭な口調と冷静な態度が、いみじくも示す。従う相手が、あくまでも親父であるということ。それが気に喰わなかった。
「一人で住みますよ、ここに」
「承知いたしました。それでは、通いでお世話をさせていただきます」
折り目正しくお辞儀をした彼女、五月女日名子との奇妙な関りはこうしてはじまった。
五月女さんは早朝、家に来ると、俺が起きる前に朝食を用意し、食べ終わると車を運転して学校へ送る。授業が終わると、また車で迎えに来て、その車中で俺の食べたいものを訊ねた。
そして俺を先に家に送り届けてから自分は買い物に赴き、家庭的なものから手の込んだものまで大抵のメニューであれば希望通り、その晩の食卓を彩るのだった。
「どうぞ」
「……」