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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い


「?」

 ドアノブを掴んだまま立ち尽くしている俺を、五月女さんが不思議そうに眺めていた。その視線を受け、黙っているのは不味いと感じると、俺は考えもなく口を開く。

「こ、この前は……その……」

「この前?」

「あのっ……失礼なことを言ってしまって……だから」

 我ながら情けなるほどの惨状ではあるけど、どうやら言葉の意味するところは正しく受け取ってもらえたようだった。

「いいえ。私の方こそ、大変な失礼を。手をあげたこと、あの後で悔やみました」

「いっ、いいんです……でも?」

「でも?」

「あなたが、ここに来るのが……仕事で仕方なくだと、そう思うと……なんだか、悪くて」

 一体、なにを言いたいのか自分でもわからなかった。それなのに、なぜだろう。

「大丈夫です。涼一さんが、なにかを気にすることではありませんから」

 そう言った五月女さんははじめて、俺の前で柔らかく微笑んでいた。それだけに留まらず、彼女は首を僅かに傾げ、少し冗談ぽくこう言ったのである。

「あの、お話しでしたら、後ほど。そろそろ服を着させては、いただけません?」

 ドクン、また大きな脈が打たれる。俯いて床を見つめてはいても、五月女さんが裸であることを意識してないわけがない。

「あっ、すいません」

 慌てて背を向けると、ドアを閉じようとした。でも、完全に閉ざすことができなかった。

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