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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
背中を洗う手の感触が生々しすぎて、逆に現実のものとして受け入れられない――のでは、なく、現実に味わったことのない高揚が、どこまでも感覚を乱していた。
「こちらを、向いてください」
「え?」
「前も、洗いますから」
これもラノベで読んだ、お約束の場面だ。すると邪魔が入るか、主人公の理性が働くかして、この辺りで茶化される。
でも現実のこの場面に、邪魔は入りそうもなく。俺の思考力は、立ち上る湯気にリンクするように、ぼーっとして頼りなかった。
またしても、言われるがままに身体の向きを変える。と、その時だ。
「あ……!」
俺が漏らしたその声は、恥辱に満ちたもの。腰に巻きつけたタオルが、逆に滑稽だ。まるで隠す意味を成さずに、それを押し退けると。
思春期の性の根は、臨界寸前のようにビリビリと聳え立っていた。
「……」
五月女さんは、暫し見つめる。まるで無感情に、それを。冷めたようなその視線と、熱しか持たない俺の触角の対比が、どこまでも残酷に思えた。
逃げなければ、いけない。この恥辱には耐えられそうもないから。働いたのは理性ではなく、単なる自己防衛だ。
でも、慌てて立ち上がり、泡で足を滑らせ、バランスを崩した拍子。
「危ない」