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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第7章 乱れる心、あの日の想い
しっかりと抱き止められて、二人の身体が密着した刹那、その様な想いは消し飛んでいた。
やせっぽちの俺の身体に比べ、スタイルは良くても肉感的な厚みを持つ、大人の女性の裸体は、ふんわりと柔らかだ。
正に、カチンコチン。いかに稚拙でも、そう表すしかない俺の一部が、五月女さんの適度な脂肪に覆われた腹筋に、ぐりぐりと押し当たっている。押し当てたつもりはなくても、更なる興奮の波が欲望を尖らせたかのようだ。
この頃の俺は、性というものに疎かった。同年代の友達はなく、本来ならそういった中で培われ蓄えられたはずの知識が皆無だった。
ネットで見る女の人の裸は、突然すぎる上に見たくないものまで見せられるようで、嫌悪の方が大きかった。それで、ラノベや官能的な純文学の文字列に興奮の正体を委ねていた。
それで高鳴っても、自慰行為をしたことはなかった。なんとなく認識はあって、しようと試みたことはあるけど、自分でそれを握った瞬間に、あまりにも惨めに思えて続けられなかった。
射精は小説を読んだ夜の、夢の中に限られた。二週間に一度、ほぼ正しい間隔で迸ると、次の朝、汚した下着の始末に頭を悩ませていた。
この前の夢精から、丁度二週間目だった。
「あの……ごめんなさい」
「どうして、謝るの?」
「だって」
「私なら、構いません」
お腹に押し当たっていたものから、身体をかわすように横に立つと、しなやかな指先が、ツツツと、男の高鳴りを微かになぞっていく。
そして、五月女さんは耳元で囁きかけた。
「こちらのお世話も、いたしますか?」
この甘美な問いに、どう応えたらいいのか、この時の俺にわかるはずもない。否、いつだって、それはもう言葉ではないから。
俺はぎょっとして、彼女の素顔を見つめるしかなかった。