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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
「女の中で上手く立ち回れないとか、よく言うよ。むしろ無責任に楽しんでいるとしか、思えないけどね」
脱衣場での会話を踏まえて、冷めた目を向けると。
「フフ、飲んでる時はノーカウントだよ。明日の朝になれば、きっちりリセットされてるから。それにさ、今夜は私なりに気を遣っていたの」
「どうして?」
「他の二人とは立場が違うってこと、ちゃんと自覚してるから、ね」
「……?」
彼女の言葉の意味が、よくわからなかった。思わず、じっと視線を向ける。
高坂さんは、しなやかな肢体をソファーに預けて前髪をかき上げると、俺と視線を合わせて言った。
「静かだね」
二人きりになったことで、森閑な別荘の雰囲気が、一気に際立つ。それと同時に、まるで彼女の魅力が解き放たれたようだった。
ごくりと、思わず喉を鳴らす。
「あのね――」
「なに?」
見つめ合ったまま互いに沈黙。そのまま数秒そうしていた後で、高坂文水の身体から、ふっと妖しい気配が消えた。
「――やっぱ、今はいいや」
「え?」
「妹さんのこと、心配でしょう?」
「あ、ああ……」
なんとなく釈然としない想いを残しつつ、俺は席を立つ。そうして瑞月を追おうとした時だ。
「ねえ、子供のころって、いつの話なの?」
そう聞かれ、ちょっと間を置いてから俺は答えていた。
「……俺が中学卒業の直前で、瑞月は十四だった」
自分でも不思議なくらい、あっさりと口をついた。先の「子供のころ」というのが誤魔化しであることを認め、更に具体的な表現を用いている。
だけど、高坂文水ならば、なんとなく。
「ウフフフ。それって、どう考えても普通じゃないよね」
そうして、笑って聞いてくれるような気がした。
「うん、普通じゃない」
俺も期せずして笑みを零し、その場を後にする。