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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
友人のデート相手を起こしにきた彼女は、どこか愉快そうだった。その彼女とも明後日にデートをすると考えれば、変な感じではあるけど、単にイベントとして楽しんでいるなら、それはそれで彼女らしいのかもしれない。
だけど、それはこの一週間で見知った夏輝木葉であって――。
「お兄さん」
「え?」
「今日の主役(ヒロイン)は、つっちーですから」
夏輝さんはそう言うと、パタパタとスリッパの足音を残し、部屋を出て行った。込み入った話は後日に、ということなのか。
そう、今日のデート(と、俺自身が認めたわけではないが、きりがないので、まあいい)相手は松川土埜である。
「あーあ、どうすんだよ……」
彼女の魔性に、どう対するべきか。三日の猶予を、まったく生かせなかった。俺は無策のまま、あの松川土埜と一日を過ごそうとしている。
ある意味で、二人きりになるのが一番ヤバい相手だった。
とりあえず顔を洗いリビングに赴くと、キッチンに立つ高坂文水から声をかけられる。
「簡単に朝食用意してあるけど、食べる?」
「あ、うん……」
「じゃあ、ソファーにでもかけてなよ」
言われるままリビングのソファーにいると、高坂さんが甲斐甲斐しくも朝食の皿を俺の前に並べてくれた。トーストにベーコンエッグとグリーンサラダ、それにコーヒーも。
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」