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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「あのさ」
「なぁに? 昨夜のキスマークのことなら、もう忘れてるけど」
「きっちり、憶えてるじゃん……あれは」
「いいよ、言い訳なんか。それより、なに?」
「いや……みんな、どういうテンションなのかなって」
「それは、それぞれでしょう。私なら至って普通だし」
そうか? どちらかといえば朝が苦手な彼女が、わざわざ朝食の用意なんて、あまり普通とは思えなかった。
だけど、それぞれというのは、その通りだろう。俺はふと、閉まったままの襖を眺める。瑞月は、まだ寝ているのだろうか。それとも――。
朝食を終え、出かける支度を済ませると、また夏輝さんに急かされた。
「さあ、お兄さん! 用意が整ったのなら、外で待っていてください!」
そうして家を追い出された俺は、車の傍らで空を見上げる。本日は晴天なり。高地の午前中につき、今はさほどでもないが、日中にはかなり気温が上がりそうだ。
せいぜい熱中症には気をつけよう。夏を謳歌する若者としては、あまり適当でないことを考えていた時。
ドアが開き、彼女がその姿を表していた。