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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「あの……今日は、よろしくお願いします」
少し頬を紅く染め、眼鏡の奥の大きな瞳を微かに潤ませている。
この一週間を見た限り、彼女は襟がある服を好む傾向にあるようだ。本日の紺のワンピースも例外ではなく、スカート部分の丈も長め。基本的に露出が控えめなのも、彼女らしい。
その上から、ふわりと羽織る白いロングカーディガンにより、涼やかで清楚な印象が際立っている。個人的には、麦藁帽でも被せてみたいところだが、それだと狙いすぎか。
「こ、こちらこそ……というのも、なんだか変か」
「そんなっ……結局は、私のせいでこんなことになって……すみません」
「いや、そんなことはないけど」
「……」
「……」
なんだ? お互いに照れて顔を背けたりして、これじゃホントに初デートっぽい雰囲気だが……。
「じゃ……じゃあ、車に」
「はい……」
彼女を隣に乗せ、俺はとりあえず車を走らせた。
デート初日の相手は、松川土埜。今はまだ、その本性の欠片すら見せない。
果たして、どんな一日になるものか。自分でも、まるで想像がつかなかった。