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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「んっ……つっちー。いま、何時……?」
「ごめん、起こしちゃった? まだ六時前だから、寝ててもいいよ」
「うん……つっちー」
「なに?」
「今日は……デート、だね」
木葉ちゃんは眠い目を擦りながらそう言うと、こちらに背を向けて、また眠りに入ったようだ。一つ一つの仕草が、小動物みたいで愛くるしい。私は思わず、くすっと笑う。
でも、そんな木葉ちゃんの言葉や行為に、ハラハラさせられることも度々あった。昨日の夜のことも、そうだ。
それは昨夜、突如として別荘を訪ねてきた五月女さんという美女が帰った後のこと。お兄さんは地下の書斎で小説を書いているのか、とても静かだった。
そんなタイミングで木葉ちゃんが「女子だけ四人で集まろうよ」と言い出したのである。私は内心、なんてことを言い出すのかと、ぎょっとして木葉ちゃんの顔を見返していた。
既にお兄さんにも気づかれていたようだけど、私たち四人はあまり仲が良くなかった。私の場合、木葉ちゃん以外の二人とはこの別荘に来る以前、ほとんど話したことすらない。なにより特にこのタイミングにおいて、瑞月ちゃんと顔を合わせることを気まずく感じていた。