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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「みずきー! ちょっと、いい?」
私と高坂さんの手を引き、木葉ちゃんは些か強引に瑞月ちゃんの泊まる和室へと押し入っていった。その時、瑞月ちゃんは私の顔を一瞥すると。
「なんのつもり、木葉?」
すぐに、木葉ちゃんに言った。
やっぱり、怒っている? 当然かもしれない。四人が順番にお兄さんとデート(という言葉を用いたのは他の人だったと思うけれど)する、という流れを作ったのは、私ということになるのだから。
「ほらぁ、瑞月ぃ。そんなにピリピリしないでよぉ」
「ピリピリなんてしてない。私はただ――」
「でも、認めてくれたんだよね? 私も文水さんもつっちーも、お兄さんとデートしていいって」
「別に……」
瑞月ちゃんは私たち三人の顔を順に眺めてから、プイっと顔を背けて、こう続けた。
「……ただ、勝手にすればって」
瑞月ちゃんは、大学に入った頃と随分イメージが変わった。私からしたら最初から近寄り難い存在だったけれど、サークルのコンパで見かけた時は、とても素敵な笑顔を浮かべていたから。
でも、当初彼女のことをチヤホヤしていた(特に男性の)先輩たちが、なぜか急に敬遠するようになると、瑞月ちゃんの方も徐々に周囲との間に壁を築いていったように思う。