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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
最近、髪の毛を染めたのも、そんな心理の延長だろうか。彼女はモデルみたいに整った容姿だから金髪も魅力的だけど、少し無理をしているようにも感じてしまう。
瑞月ちゃんは、やはりイライラしていた。そんな彼女を前にして、きっと私なんかが出しゃばるべきではなかっただろう。なのに――
「あの……瑞月ちゃん、ごめんなさい」
重い空気に耐えかねて、私は頭を下げた。卑屈だと思いながらも、そうせずにはいられなかったのである。
「なんで?」
「え?」
「そんな風に、わざわざ人をイライラさせて、楽しいの?」
瑞月ちゃんが私の方睨みつけた時、間に入ってくれたのは高坂さんだった。
「そんな言い方、流石にないんじゃない?」
「は?」
「松川さんのことも私のことだって、ここへ連れて来たのはそっち。それも、勝手な自分の都合で――違う?」
「だから、帰ればって言ってるでしょう!」
「それが勝手だって――お嬢様のわがままだって、そう言ってるの! こっちにも気持ちってものが――」
「やっ、やめてください!」
掴み合いそうになる瑞月ちゃんと高坂さんの間に、木葉ちゃんと二人で必死に割って入った。なんとか、それぞれの興奮が静まった後で。
「……ごめんなさい」
私はもう一度、瑞月ちゃんに頭を下げた。きっと彼女の神経を逆なでしてしまうと、そう承知しながらも。