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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「もしかして、ケンカ売ってる?」
瑞月ちゃんが信じられないという顔で、私を見たのも当然。だけど私の中では明確に、これはさっきの謝罪とは意味が違っていた。
「そうじゃない、今までのことじゃなくって……明日のことを、先に瑞月ちゃんに謝っておきたかったから」
「明日……? それ、どういう意味?」
瑞月ちゃんにじっと見据えられ、私は唇を震わせながら話した。
「もし、明日……瑞月ちゃんに謝らなければならないことになっても、たぶん私……後ではもう、謝れない。謝らない、から」
言ってしまってから、ハッとした。瑞月ちゃんだけではなく、木葉ちゃんも高坂さんも、唖然として私のことを見つめていた。
「だ、だから、それだけ……せめて先に」
私は尻切れトンボのように、最後にそれだけ告げ、一人逃げ出すようにその場から立ち去っていた。
言った。言ってしまった……。上手く伝えられなかったかもしれない。でも、それでもいい。
私はこの時、胸の奥に宿る不確かな、それでいて欲望とは違う高鳴りに、戸惑っていた。でも、それを自分自身で否定してしまうのは惨めすぎるから。
せめて、この微かな想いだけは、その行く末を見届けたい。決して叶わないと、わかっているけど……。