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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
木葉ちゃんはそう言うけど、やっぱり私に対する態度は特別に冷淡であるように思えた。もしかしたら、気づかれているのだろうか。お兄さんに、もう抱かれていること。
そもそも今回の旅に、私が誘われた理由はなんだろう。木葉ちゃんを通じて誘われた時は、正直二の足を踏んだ。なんとなく断れない雰囲気を察して、こうして来てはいるものの……。
そう言えば昨夜、高坂さんが少し意味深なことを言っていた。私と高坂さんが連れて来られた理由は、似たようなものではないかという。それに加えて、お互いに〝よくない噂〟が、学内に拡がっていることにも触れた。
私について、それは言うまでもないだろう。見境なく学内で相手を求めることを、最近になって気をつけてみても、それでは遅すぎたのだ。入学当初には特定の相手とつき合った上で、あんな酷い別れ方をしている。その事実を、消すことはできないから。
そんな噂を耳にした上で、瑞月ちゃんが私に声をかけたのだとしたら、その理由は一体なんだろう。お兄さんのことを大事に想うのなら、私のような女こそ傍に近づけたくはないはずだ。
彼女にとって単なる肉親ではないというのなら、それは尚更。
「瑞月ちゃんとお兄さんって、血が繋がってないんだよね」
昨夜、はっきりした事実を、独り言のように口に出していた。そんな私を不思議そうに見つめた後で、木葉ちゃんは言った。
「今更、なに? って、感じだよねー」
「え?」
「アハ! 別に、瑞月のこと悪く言ったんじゃないからね。でもさぁ、だからお兄さんに手を出さないでって言ってるなら、それっておかしくない?」
「そう、かな?」
「そうだよ。だって、お兄さんは実際、瑞月のお兄さんでしょう? だから、私たちだって〝お兄さん〟って呼んでるんだし。それを今になって、お兄さんじゃないからって言われてもなあ、とか。つっちーだって、そう思わない?」
「えっと……まあ、少しは」
言葉の意味はほとんど理解できなかったけれど、木葉ちゃんの勢いに巻かれ思わず頷いていた。