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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「だったら気にしないで、今日は楽しんでおいでよ」
「うん……でも」
快活な木葉ちゃんに比べると、うじうじとはっきりしない自分に嫌気が差す想いだった。でも彼女と違って、私には後ろめたさがあるから。
「じゃあ、いいこと教えてあげようか」
「えっ、なに」
「あのねぇ、実はねぇ」
木葉ちゃんが思わせぶりに、そう言いかけた時だった。
「ねえ、起きてる?」
その声と共に、コンコンとノックの音が響いた。今朝の七時半頃だった。はい、と応答すると、ドアが開き高坂さんが「おはよー」と、顔を覗かせた。
「こんな早くから、どうしたんです、文水さん?」
「なんか、目が覚めちゃってさ。朝食作るけど、食べる?」
「わあーい! お願いしまーす!」
元気に返事をする木葉ちゃんだけど、同じようにはできない私はベッドから立ち上がった。
「あ、では私、お手伝います」
「いいよ、ゆっくりしてて。どうせ簡単なものだし、手間はないから」
高坂さんは微笑んで言った。