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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


 無責任に盛り上がる二人に、私は慌てて頭を振った。

「ええ? 無理無理!」

 結局は二人に勧められるまま、思い切って実行したわけだけど。その結果は恥ずかしい想いをした甲斐もあって(?)、『つっちー』呼びという思わぬ副産物を生んだ。

 その後、高坂さんは朝食の準備のため一階へ下りていき、部屋にはまた木葉ちゃんと二人きりになった。すると、私の方に歩み寄った木葉ちゃんが、耳元で囁いた。

「私も、お兄さんとエッチしたよ」

「え……?」

「さっきの続き。他の二人には流石に内緒だけど、つっちーには特別に教えてあげるね」

「こ、木葉……ちゃん?」

 思わず、なにを言われたのか理解が追いつかなかった。唖然とする私に、木葉ちゃんは続けてこう言うのだった。

「だから、つっちーも気にせず――自由にしたら?」

 木葉ちゃんの話を聞いて、驚きはあったけれど不思議とショックはなかった。逆に、あまりにも唐突に感じて、変な言い方かもしれないけど、世界が広げられた気がしたのだ。


     △     △


 私は自分自身が、どう自由にしたいのか、それすらもわからずにいる。それでも今、隣でハンドルを握るお兄さんに。

「好きになって、いいですか?」

 とりあえず一つ、胸の中の想いを届けてみることができた。この先、どうしたらいいのか、どうなるのか、それはまだわからなくても。

 ぐつぐつと煮えたぎるような欲望の片隅で、ほんの少しだけ湧き出してくる、この気持ちを見つめていた。

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