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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「つ、つまり、なにが言いたいのかというと。こんな場所で、よかったのかなって……女の子が喜びそうな場所なんて、なかなか思い浮かばなかったから」
しどろもどろに、まったく、なにを言っているのだろうか、俺は。我ながら、どうしてこうもテンパってしまうのか、情けない限りだった。
実際、こうした状況に慣れてないのは、その通りではある。デートとかいう以前に、人づき合いそのものが苦手といってしまえば、それまでかもしれない。だけど俺の場合、やはりそれだけに留まらないようだ。
女性経験はあっても、恋愛経験の方は皆無に等しい。白状してしまえば、それが俺という男だった。言葉にすればイメージの悪いこと、この上ないだろう。でも、実際そうなのだから仕方がないことである。
当方の〝経験〟の部分の多くを占めるのが、例の五月女日名子だった。五月女さん以外の経験人数といったら、思い返せば(ついこの間までは)たったの一人だけ。その一人についても、勢いというのか成り行きというのか、あまり良い思い出ではない。もちろん、彼女としてつき合った経験には数えられなかった。
そんな俺だからこそ、今の状況に戸惑ってしまう。だけど理由は、それだけではなかった。
「――!?」
突然、手を握られて、ぎょっとした。意図を掴めずに、相手の顔を見やる。
「うふふ」
そんな俺の顔を悠然と眺め、彼女は楽しそうに微笑んだ。
「一応、デートなので」
「え?」
聞き返すと、彼女は自分の口にしたばかりの言葉と繋いだ手、その言い訳でもするかのようにして、こう話した。