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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


「いえ……す、素敵なところだと思います。なにより、お兄さんがそんな風に考えて連れて来てくださったこと、私はとても感激しているんですよ」

「そう……?」

「ええ……」

 その頬を瞬時に、ぽっと染めている。今の松川土埜の姿は、純真そのものに思えた。

 その様子が、あまりにも今までと違うことに、俺はどんどん戸惑ってしまう。胸がきゅっと締めつけられるような、この感覚は一体どういうことだろうか。

 やはり、それは車の中で。

「好きになって、いいですか?」

 涙を浮かべる彼女に、そう告げられた時から始まって、今も続いている。

 あの言葉は、あまりにも想定外だった。彼女が俺に求めるものの中に、そういった気持ちの部分が介在するとは考えていなかったから。

 それまでは只、彼女の中の如何ともし難い、自分でも持て余す劣情を、たまたま身近にいた俺にぶつけているだけだと。そんな彼女をどう諫めるべきかと、そればかり考えていただけに対処に困ってしまう。

「お兄さん、どうかしましたか?」

「え? ああ、ごめん。別に……少しボーッとしただけで」

「では、あちらに行ってみましょうか」

「あ、うん……そうだね」

 手を繋いだ俺たちは、傍から見ればまるで普通の恋人同士のよう。たぶん、そうなのだろう。無邪気にはしゃぐ子供たちの中に紛れ、牧歌的なアミューズメントに身を投じていく。

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