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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第1章 夏のはじまりは刺激的に
別荘の敷地から前の道に出て、左右を見渡す。この辺りは別荘の密集地から少し離れているので、道を照らす外灯も疎らだ。若干、傾斜する登り勾配。更に森の奥まった方を眺めていると、その先から声が聴こえた。
「おーい! お兄さーん!」
夏輝さんだ。向こうからは、外灯の元にいる俺の姿が見えるらしい。声のした方に、急いで駆け寄る。
「ああ、よかった。今、呼びに行こうか迷ってたところでした」
「み……瑞月は?」
息を切らせながら聞くと。
「この先の少し拓けた小川のところって、わかります?」
夏輝さんは、わき道を指さしながら言った。
「もちろん。瑞月についててくれて、ありがとう。暗いところ苦手なのに、平気?」
「はい! だって、ほら!」
彼女らしく元気な返事とともに、夏輝木葉は両手を頭上に向かって広げた。一緒に見上げたそれは、まさに満天の星空である。
「これだけの星たちに見守られていたら、心細くなんかありません」
「……」
無邪気な横顔を見て、余計なことと思いながらも聞く。
「あのさ、変に思ったよね。……さっきの話」
「さっきの? ああ、瑞月とキスしたという、お話ですね。まあ正直、軽く引きましたよ。子供のころとか言ったって、瑞月のあの様子から察するに、只事でないのは丸わかりですもん」
「そ、そうだよな」
俺は弁解の言葉もなく、頭を掻いた。