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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


 あどけない表情の彼女を前にして、思わず息を呑んだ。

 あれほど繰り返すことを恐れた激しい情交の場面を、瞬間、強烈に渇望するかのようだ。目の前に立つ彼女のことを、ぎゅっと抱きしめたくて堪らなくった。

「お兄さん」

「いやっ……そうじゃなくて」

「……?」

 駄目だ。淫らな意図を、彼女に悟られるわけにはいかない。そう思えば思うほど、胸の奥から沸き上がる欲望の塊が抑え難く感じる。

「あの、もしかして具合でも悪いのですか?」

「だ、大丈夫」

「でも……」

 と、彼女は少し考えを巡らせるようにしてから。

「つ、つっちー?」

 俺の手を引くと、人気のない厩舎の裏手へ向かった。そうして、彼女は振り返るや、俺の首に両手を回して、徐に顔を寄せる。

 ぐっ……!?

 下方から突きつけるような、それは強烈なキス。

「……ごめんなさい」

「え?」

「できるだけ、普通の子でいたいって、そう思うんです。でも――」

 彼女は息づぎでもするように話すと、また、しっとりと唇を重ねた。

「んっ……」

「あぁ……」

 これは晴れ渡った午前中の出来事。家畜の匂いの漂う厩舎の裏側で、松川土埜と舌を絡ませながら、俺の思考は霞でもかかったように薄らいでいった。

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