この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
あどけない表情の彼女を前にして、思わず息を呑んだ。
あれほど繰り返すことを恐れた激しい情交の場面を、瞬間、強烈に渇望するかのようだ。目の前に立つ彼女のことを、ぎゅっと抱きしめたくて堪らなくった。
「お兄さん」
「いやっ……そうじゃなくて」
「……?」
駄目だ。淫らな意図を、彼女に悟られるわけにはいかない。そう思えば思うほど、胸の奥から沸き上がる欲望の塊が抑え難く感じる。
「あの、もしかして具合でも悪いのですか?」
「だ、大丈夫」
「でも……」
と、彼女は少し考えを巡らせるようにしてから。
「つ、つっちー?」
俺の手を引くと、人気のない厩舎の裏手へ向かった。そうして、彼女は振り返るや、俺の首に両手を回して、徐に顔を寄せる。
ぐっ……!?
下方から突きつけるような、それは強烈なキス。
「……ごめんなさい」
「え?」
「できるだけ、普通の子でいたいって、そう思うんです。でも――」
彼女は息づぎでもするように話すと、また、しっとりと唇を重ねた。
「んっ……」
「あぁ……」
これは晴れ渡った午前中の出来事。家畜の匂いの漂う厩舎の裏側で、松川土埜と舌を絡ませながら、俺の思考は霞でもかかったように薄らいでいった。