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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
三日前のラブホテルで、私は涼一さんにその話を聞かせた。哀れで可哀想な私を、涼一さんに慰めてほしい一心だった。なんて恥知らずな女なのだろう。私は過去最大の傷(トラウマ)をひけらかしてでも、涼一さんに抱かれたくて溜まらなかったのだ。
だけど不思議。それまでは誰にも話したことはなかったのに、どうして涼一さんには話してしまったのだろうか。
ともかく私の苦しみを生み出した根幹は、育児放棄《ネグレクト》に端を発していると断定して間違いはない。でも、誤解が生じる前に言っておかなければならないだろう。
私は両親のことを恨んではいない。それどころか、素晴らしい両親だと尊敬すらしているくらいだ。実際、世間的な観点で照らし合わせても、かなり理想的な両親と思えている。
父は自ら法律事務所を構える弁護士であり、母はそこに司法書士として在籍し父の仕事のサポートをしている。二人ともどんなに多忙な時でも、家庭を顧みないようなことはなかった。
私とまだ小学生の弟のことを、父も母もいつも気にかけてくれている。私が大学生になり家を出た後でも、それは変わらなかった。月に何度かは必ず家族四人で食事をして、些細な近況報告にも熱心に耳を傾けてくれる。