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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「――無理もないと思うよ、俺も。そんな幼い時に、生きるか死ぬかの経験をしたら……きっと、誰だって普通ではいられないと思う」
「そうですね。私は、普通ではありません」
「ち、違うんだ。ごめん……つっちーのこと、傷つけるつもりなんてないのに、その……言い方を間違えて」
「平気です。続けてください」
「うん……つまり俺が言いたいことは、今のつっちーの苦しみには、確かに起因になった過去の出来事があるわけで……しかも、幼いつっちーは完全に被害者だ」
「……」
「それなら専門の医師を頼るとか、心理カウンセリングを受けるとか。詳しくもないのに適当なことを言うようだけど、少なくとも一人で抱え込まなくてもいいと思うんだ」
「……それでは、きっと父や母まで心を病みます」
「そ、その思いやりはわからなくはない。だけど、いくら事情があったといっても元はといえば、ご両親のせいで――」
「ですからっ、もういいんです!」
「つっちー……?」
自分でも暫くは覚えのないくらい、声を張り上げてしまった。驚いた涼一さんが不安そうな顔をしている。
午後の一時半を回り、お客が疎らとなったレストランの店内。その中でもこちらに反応を示したはす向かいのお客が、目が合うと私から気まずそうに視線を逸らす。