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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


 私は小さく息をつき、窓からの木訥な景色を見渡すと、少し気持ちを落ち着けてから話を続けた。

「ごめんなさい」

「いや、俺の方こそ、すまない。つい、言葉がすぎたみたいで」

「涼一さん」

「ん?」

「私は、苦しまなくてもいい方法を見つけているんです。自分の心の闇から逃れる方法を……だから、もう」

「その方法とは、セックスに依存するということ?」

「!」

 涼一さんは細く形の良い眉を寄せると、これまでで一番、険しい顔を見せた。

「気を悪くしたなら謝る。だけど、今のままでは駄目だよ。仮に今は良かったとしても、いずれは破滅に向かうことになる。知り合ってから、まだ間もないのに勝手なことを言うようだけど、つっちーを見てると、そう思えて仕方がないんだ」

「……」

 視線を下げて俯いた私に、尚も涼一さんは語りかけてくれた。

「セックスで、どんなに救われた気持ちになるのか、その感覚は俺にはわからない。そして、それをしないと、どんなに辛いのかも……。だけど、つっちーが幸せに――せめて、今よりも健やかに生きていくためには、やっぱり別の方法を探さなければいけないと思うんだ」

「わかってます、わかっているんです」

「だったら」

「わかっていても、止められません。自分を律しきれないんです。私、駄目な女だから」

「つっちー、そんなこと――」

「涼一さん、私、どうしたらいいですか?」

 私は顔を上げ瞳から涙を流すと、涼一さんに縋るように訴えていた。

「それは、その……」

「涼一さんが、助けてくれませんか?」

 この涙さえ、計算したものかもしれない。私は男の人の同情を引くためなら、そんな真似さえ繰り返してきたから。同情を買って、身体も心も慰めてもらうために……。

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