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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
自分の素直な気持ちさえ、もうわからなくなってしまった。けれど、今のこの涙だけは違うと、もう一度信じてみたいと思うから。
「……」
押し黙ってしまった涼一さんのことを、これ以上困らせては駄目だ。この涙を嘘にしないためにも、私からもっと心を開かなければならない。
闇に埋もれたどろどろの心根を晒して、たとえ涼一さんから嫌われてしまったとしても。
「ごめんなさい。私、無理を言ってしまって……」
「いや、でも……どうして俺に、そこまで?」
「甘えたいんです、きっと。今までに、そういう男の人がいなかったから」
「そういう、とは?」
「セックスした後でも、優しかった人」
「俺は、別にそんな――」
「いいえ。こうして心配して、私なんかのこと。それだけでも、私は……」
……嬉しかった。
今までにない気持ちが、私の中に生じはじめているのを感じてる。
「でも、自業自得ですね。好きな人ととか、そういう前提も自覚もなく、単に楽になりたくて身体を重ねてきた、この私には」
「つっちー……だけど、どんなきっかけで、その……」
涼一さんは聞きにくそうに言葉を濁しているけど、疑問に思っていることは、すぐに理解できた。
「涼一さん、もう少し私の話を聞いてもらえますか」
「もちろん。というか、俺も聞きたいことがあるんだ。それは――」
「わかります。どうして、セックスが救いになったのか、そのきっかけについて」
私は自らの初体験を、赤裸々に語ろうとしてる。
はじめて好きかもしれないと、そう思える人に――。