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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


 怖い夢から逃れたい一心で、私は次第に感情を殺すようになる。けれど無感情すぎることで、特別になってはいけない。

 善いことであれ悪いことであれ、見かけ上、行き過ぎては目立ってしまう。それにより、夢とは別の苦難が生じることもあった。

 たとえば、小学五年生のある日の出来事。国語のテストで百点を取ったことで、クラスの皆の前で私は先生に誉められたのである。その時、クラスメイトの視線が一斉に、私へと注がれた。

 誰一人として、悪気はなかったように思う。皆、テストで良い点を取った私のことを、素直に賞賛して笑顔を向けていたのだ。

 でも、その瞬間。誰もが私を〝見た〟ことにより、〝見られた〟私は一人きりになった。多数と一人。それはすなわち、孤独。そんな状況すら、心の闇とリンクしたのだ。

 私は突然、奇声を発して白目を剥くと、その場で卒倒したのである。

 そんな経験が、また私を生きづらくさせた。怖い夢に怯えて、ひっそり暮らすことすら儘ならなかった。自分の殻に閉じ籠もって、両親に心配をかけるわけにもいかない。

 なにより、孤独を連想してはいけない。それでいて、人と関わりすぎてもいけない。形式上の友達は、お喋りが好きな子の方が都合がよかった。相手が話すのを、私は微笑を浮かべて聞いていればよかったから。

 そんな私の日常は、他人には理解し難いものだろう。でも、わかりやすいイメージがある。それは学校帰りの帰路。友達と別れて一人きりで歩いている時に、よく現れるイメージだ。

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