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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
それは放課後の教室。委員会の用事を終えた私が、自分の荷物を取りに戻ろうとした時――。
「俺は北嶋だね。このクラスならダントツ!」
「そーかぁ? 俺的には、山口の方が高ポイントなんだけど」
「はあ? ぜってー、北嶋美優!」
「いやいや。山口茉莉も負けてねーから!」
教室の中からは、数人の男子の声が漏れ聴こえてくる。話題になっている女子も同じクラスの子。北嶋さんも山口さんも都会的であか抜けていて、男子にも女子にも人気があった。
言い争う二人の男子は、黙って話を聞いていたもう一人の男子に話を振る。
「矢野、お前はどっちがいいと思う?」
「え? 僕は……べつに」
矢野くんは困惑する。彼は(私が言うのもなんだけど)クラスでも目立たないタイプだ。
「べつにって、どういうことだよ。北嶋と山口の他に、もっと美人がいるってことかぁ?」
「いや……そうじゃなくって」
はっきりしない矢野くんを、尚も他の二人が問いつめている。
私はふっと息をつき、トイレにでも行って時間を潰そうか、それとも構わずに教室に入ってしまおうかと考えていた。すると――
「ま……松川さん」
「へ? もう一度、言ってくんない」
「だから、松川土埜!」
「?」