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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
割と新しい一軒家だった。二階にある矢野くんの部屋に通された私は、立ち尽くしたまま所在なく辺りを見渡す。部屋の中は、物が多くて全体的に雑然としていた。
本棚に目を向けると、アニメのDVDやブルーレイ、それとコミックの単行本が所狭しと並ぶ。その上のガラスケースには、やはりアニメ関連のキャラクターと思しきフィギュアが何体も陳列されていた。
なんのキャラクターなのかは、ほとんどわからなかったけれど、いずれも美少女風のフィギュアだ。下から覗くとパンツが見えそうな女子高生、セクシーな戦闘服を身に着けたファンタジー系の女戦士、もっと露骨に艶めかしい下着姿のもの、奥の方には裸同然のものまで――!
ドアが開き、ペットボトルの飲み物を手にした矢野くんが入ってきた。咄嗟にフィギュアから視線を逸らす。
「適当に、座ってくれればいいのに」
「うん……でも」
「あ、ごめん……散らかってて、そんなスペースもないか」
「そんなことないけど」
「じゃあ、その椅子か……嫌じゃなければ、ベッドでもいいし」
先に勧められた勉強机の椅子を一瞥した後で、私はベッドの上に座った。なんとなく、矢野くんがそう望んだような気がしていた。