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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


 悪夢から逃れ、平坦な日々をやり過ごすことで精一杯だった私に、恋にしろ、その先にある男女のことにしろ、関心を抱けていたはずもなかった。

 教室で矢野くんにからんでいた二人が、私の胸のことを言っていたけど、私にしてみれば走る時に揺れるのを邪魔に思うくらいのもの。矢野くんにしてもそうだけど、こんな風に興味を抱かれること自体が不思議でしかなかった。

 生理の日は生きるのがいつも以上に辛くなる、只々憂鬱な日であって、それ以外の感慨は一切なかった。アイドルグループやイケメンの俳優に熱中する同年代の女の子の気持ちなんて、理解できたためしがない。

 そんな私の目の前で、男の人の男の箇所が剝き出しになっていた。

「や……やめてほしいなら、そう言いなよ」

 別に……でも、どうするの?

 私はまた、矢野くんの顔をじっと仰ぐ――すると。

「ホントにいいんだね。じゃ、じゃあ……松川さんのも見せてもらうよ」

 私の……?

 矢野くんの手がブラジャーを、ゆっくりとたくし上げる。背中のホックをそのままに、痛いくらいの摩擦と共に、ぐぐぐっと胸の膨らみごと上へとずらされていった。

 ついにブラジャーが剝がされると、露出させられた胸が反動のままに、たぷんと大きく波打った。

 その一部始終を、彼が目の当たりにした時である。

「わっ……!?」

 矢野くんは驚いたように、そんな声を上げて、目を見開いた。それから私の揺れる胸を直視して数秒後、全身をカタカタと震わせる。

 そうして――

「あっ……ああ」

「矢野くん?」

 わけもわからずに様子を窺う私と、瞬間、目を合わせて。

「ダ……ダメ」

 彼は縋るように、言った。とても、切なそうな顔つきで。

「なにが、駄目なの?」

「こっ、このままじゃ……くそっ……」

「どこか、苦しいの?」

「ち、がっ…………うっ!」

「――!?」

 ――ビュルン!

 瞬間、矢野くんの男の人の箇所が、天を突くように大きく脈打った。

 直後、〝ナニカ〟が空中に吹き上がり、次に〝ソレ〟が私の露になった胸へと、降り注いできている。

 不思議で独特な匂いが、私の鼻孔をついた。

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