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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
それを知った私は、自らの中に湧き出した好奇心のままに尋ねてしまうのだ。
「矢野くんは、私とセックスがしたかったの?」
「…………」
矢野くんは、私の上で膝立ちををしたまま、じっと黙っている。心なしか、その表情がどんどん弱々しく複雑なものになっていた。
「違うの……かな?」
彼の様子を窺いながら、遠慮がちに聞く。暫くは返事をしてくれそうになかったので、退屈になった私は胸に付着した液粒を指でなぞった。
それは、とてもぬるぬるとして、指先に絡みついてくる。やはり、雨上がりの体育館裏の匂いだった。
「な、なんなんだよ……一体?」
「え?」
「松川さんは、どういうつもりなんだよっ!」
「私……が?」
私に、どうしたいという意思なんてあっただろうか。でも、自分が少し変なのはわかっている。否、変なのはいつものことだから、寧ろ今の方が真面なのかもしれないな、とも思った。
矢野くんは今にも泣き出しそうな顔で、訴えるように言葉を発する。
「僕は、こんなことするつもり、なかったんだ。ホントだぞ。部屋でアニメとか観て、その後で感想を言い合ったりしてさ……それでもし、少しいい雰囲気になった時には……キ、キスでもできたらいいなんて……ホントに、それだけのつもりだったんだぞ」
「そう、なの?」