この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち
「このっ……馬鹿にするなよぉ!」
「や、矢野くん? 待って」
「もう、待てないよっ! こうまでされたら、いくら僕だって」
「違うの――きゃっ!」
僅かに抵抗した途端に、頬を強く叩かれた。
矢野くんは本当に別人のよう。荒々しく乱暴に、私の身体を貪ろうとしていた。
「……」
「な、なんだよ。文句でもあるわけ?」
頬を押さえながら、下から見上げた私の視線に、彼は後ろめたそうな顔を見せる。でも、興奮は醒めやらない様子。目つきがギラギラとしていて、普段の大人しい性格に戻る気配はなかった。
でも、それは構わない。私も別に、それを望んでいるわけじゃなかった。
「……矢野くんの好きにして、いいんです。でもその前に、ひとつだけお願いしてもいいですか?」
さっきから、なぜ敬語になっているのか、自分でも理由がわからなかった。でも、たぶん、そうなのだと思うこと。
きっと自分の腹の底にある魂胆を、相手に見透かされないために下手に出ている。卑屈で卑怯だと、そう自覚しながらも。