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妹やその友達と、いろいろあったアノ夏のコト
第8章 土埜の気持ち


「ああ……確か、それなら」

 私のお願いを聞いた矢野くんは、一旦部屋をいそいそと出ていった。そして暫くしてから戻ってくると、小さくてカラフルな箱を私の方に見せて嬉しそうに言うのだった。

「やっぱり、あった! 兄ちゃんなら、持ってると思ったんだ!」

 ちなみに、その間ずっと下半身は裸のまま。硬くなった棒状の股間が、まるで野球選手のバッドのよう。動く度に、ぶるぶると左右に振れた。

 矢野くんが大学生のお兄さんの部屋から探してきたものは、避妊具(コンドーム)だった。彼は早速、自分自身に装着しようとするけど、なかなか上手にはできないみたいで……。

「あれ? どうやるんだよ、コレ」

 などどブツブツと呟くベッドに腰掛けた背中が、とても珍妙だと思えた。

「……」

 矢野くんの準備が整うのを待つ間、ちゃんと裸になった方がいいのかと思い、乱れたまま身体に纏わりついていたブラウスやスカートを脱ぐ。

 私は一糸纏わぬ全裸となり、ベッドに仰向けに横たわった。見上げた白い天井が暗闇に染まらないようにと、そっと祈りながら。

 なけなしの性知識を総動員して、私は矢野くんに「どうか、避妊をしてください」と、お願いをした。私が妊娠を恐れたのは、私みたいな子を、私が生むわけにはいかないと、そう思ったから。

「へへ……これでオッケーだ」

 矢野くんが徐に振り向くと、彼の男の人の箇所が、薄ピンク色のゴムに包まれていた。

 それを、どこか誇らしげに見せつける姿が少しだけ哀れ。自分以外の人をそんな風に感じるのは、とても珍しいことだ。

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